ASCO-GI 2020

Abstract 7 大腸癌


A randomized phase III trial comparing primary tumor resection plus chemotherapy with chemotherapy alone in incurable stage IV colorectal cancer: JCOG1007 study (iPACS).

First Author : Yukihide Kanemitsu et al.

背景

大腸癌の約20%は診断時にはstageⅣであり、そのうち約80%は切除不能である1)。切除不能stageⅣ大腸癌のうち原発巣による症状が原因で入院を必要とする症例は4%以下とされ多くは無症候性である2)。原発巣による症状がない、もしくはわずかである同時性切除不能進行大腸癌に対して原発巣切除(primary tumor resection:PTR)を全身化学療法に先行して行うべきかコンセンサスは得られておらず、ランダム化比較試験による検証もされていない。
無症候性切除不能stageⅣ大腸癌に対するUpfrontのPTRの予後延長効果および安全性を検証する目的で本試験が行われた。

対象と方法

切除不能stageⅣ大腸癌のうち1)イレウスや出血、穿孔といった原発巣に伴う症状がない、2)切除不能と判断される同時性遠隔転移臓器(肺、肝臓、リンパ節、腹膜)を1-3臓器有する、3)ECOG PS=0-1、4)年齢20-74歳、5)全身化学療法および放射線の治療歴がない症例が適格となった。登録された症例はUpfrontのPTRを行わず全身化学療法を行うChemo群とPTRを先行してから全身化学療法を行うPTR+Chemo群とに1:1にランダム化割付された。割付因子には施設、原発部位、ECOG PS、性別が用いられた(図1)。

図1. 試験デザイン

Abstract 7
(発表者の許可を得て掲載)

全身化学療法はmFOLFOX6+BevacizumabもしくはCapeOX+Bevacizumabが選択された。PTRについてはD1-3郭清を伴う開腹もしくは腹腔鏡下による結腸切除もしくは高位前方切除が選択された。腫瘍浸潤臓器の合併切除は腸間膜、小腸、大網膜、卵巣のみが許容された。

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